てけとーぶろぐ。

ソフトウェアの開発と、お絵かきと、雑記と。

AndroidでWebサイトを作る(2)

Termuxで複数のセッション

HTMLファイルを作ってWebサーバーを起動してWebブラウザーでアクセスしてみました。 これからさらにHTMLファイルに手を入れたりするのですけど、そのたびにWebサーバーを終了して、microを起動して、HTMLファイルを編集・保存して、microを終了して、Webサーバーを起動して、という操作をするのは手間ですよね。

Termuxのコマンドを受け付ける画面を表示してからexitコマンドでその画面を終了するまでをセッションといいますが、Termuxではこのセッションを複数作ることができます。

Chromeでは複数のタブを開いてタブごとにWebサイトを表示できます。Termuxのセッションはそのタブに近い役回りのものと考えてください。

2つのセッションを作って1つはWebサーバーに使い、1つはmicroでのHTMLファイルの編集に使ってやればWebサーバーやmicroを終了せずに、HTMLファイルを更新しWebブラウザーからWebサーバーにアクセスして表示を確認できます。

それでは実際に2つのセッションを作ってみましょう。 まず1つ目はこれまで通りです。Termuxを起動してコマンドを受け付ける状態になっているのが1つ目のセッションです。言い換えればTermuxアプリを起動すると自動的に1つ目のセッションが作られます。 そこでWebサーバーを起動します。以下のコマンドを実行します。

python -m http.server 8080

実行すると

Serving HTTP on :: port 8080 (http://[::]:8080/) ...

と表示されてWebサーバーがアクセスを受け付ける状態になります。 Webブラウザーでアクセスしてみましょう。以下のURLにアクセスします。

localhost:8080

「Hello, World!」と表示されたでしょうか?

ここでTermuxの画面に戻り、Termuxの画面で画面の左端からスワイプインの操作をします。するとメニューが表示されます。 メニューには「[1]」と表示されていてその行が選択状態になっています。 これは1つのセッションがあり、現在そのセッションを表示していることを示しています。

ここで「NEW SESSION」をタップすると新しいセッションが作られ表示がそのセッションに切り替わります。タップしてみましょう。

再度左端からスワイプインしてみるとリストに「[1]」「[2]」とあり「[2]」が選択状態になっています。「[1]」「[2]」2つのセッションがあり「[2]」のセッションを表示していることを示しています。

試しにここでメニューの「[1]」の行をタップしてみましょう。 Webサーバーを起動したセッションに表示が切り替わります。そうしたら再度同様の手順で「[2]」のセッションを表示しましょう。

この「[2]」のセッションでHTMLファイルを編集しましょう。

micro index.html

そして既にある「Hello, World!」を適当に例えば「Hello, HTML!」と書き換えてみましょう。 書き換えたらCTRL+Sで保存します。

HTMLファイルが更新されたのでWebブラウザーで再度Webサーバーにアクセスすると更新されたWebサイトが表示されるはずです。

Chromeで同じURLに再度アクセスするにはURL欄をタップして、表示されている「localhost:8080」の行をタップします。あるいはChromeのバージョンによってURLが編集可能状態になっていればエンターを入力します。すると更新されたWebサイトが表示されます。

最後にセッションの閉じ方ですが、これには「exit」コマンドを使います。

exit

はじめの方でTermuxを終了するコマンドとして紹介したコマンドです。実はこれはセッションを閉じるコマンドです。「exit」コマンドを使ってセッションを閉じていき最後の1つのセッションが閉じられるとTermaxが終了するということなのです。

少し投資してAndroidでの開発を快適にする

ここまで進めてきて、おもしろくなってきたという方、少しなら投資してもいいなという方、それから文字入力などの操作がしんどくて…という方にも、1、2千円でAndroidでの開発を快適にする、おすすめのアイテムを紹介します。

キーボード

まずは何と言っても物理キーボードをおすすめします。 キーボードにはピンからキリまでありますが自分はELECOMのTK-FBM119という製品をおすすめします。

おすすめの理由としては以下があげられます。

  • Bluetoothで簡単に接続できる
  • 癖のないオーソドックスなキー配列
  • 実売1000円台と安価
  • 軽くて引っ掛かりのないキータッチ

なおこのキーボードもそうですが、日本で売られているキーボードの大半を占める日本語配列のキーボードをAndroidで使う場合、以下の設定を行うとキーボードの印字通りの入力ができます。

Androidの「設定」から「言語と入力」をタップ。「物理キーボード」カテゴリーにある接続した物理キーボード名を選択して「キーボードのレイアウトの選択」のダイアログが表示されたら「キーボードのレイアウトの設定」をタップ。キーボードレイアウトの一覧が表示されるので「日本語109A Google日本語入力」「日本語109A配列 Gboard」のいずれかを選択します。これらが表示されない場合は「Google日本語入力」または「Gboard」をPlayストアからインストールしてから再度設定を試みてください。

物理キーボードの場合、「CTRL」のボタンをタップしてから「S」キーをタップといったように説明していた操作は、「Crtl」キーを押しながら「S」キーを押すといった操作になります。

Androidも、テキストエディターのmicroも、物理キーボード用に幾つも便利な操作が用意されています。興味があれば「Android 物理キーボード ショートカットキー」「micro エディタ ショートカット」といったキーワードでWeb検索して調べてみてください。

スマホスタンド

物理キーボードを使うのであれば両手は主にキーボードに置くことになるでしょうからスマホスタンドがあったほうがスマホの画面を見やすい状態にできるかと思います。 おすすめとして100円ショップのダイソーの「折りたたみ式スマホスタンド」を紹介しておきます。

折りたたみ式スマホスタンド | 【公式】DAISO(ダイソー)ネットストア

マウス

そしてキーボードとスマホスタンドを使うのであればマウスの方が楽に操作できると思います。 キーボードと同じくBluetooth接続のものをおすすめします。

これもまた100円ショップのダイソーに500円という安価なBluetoothマウスがあるようなのですが…現在品薄かもしれません。とりあえず自分が使っているオーソドックスなものを紹介します。ELECOMのM-BT12BRという製品です。古いせいかちょっと高いですね…お好きなものをどうぞ。

ノートパソコン…?

本音を言えばノートパソコンをおすすめしたいのですが、そもそも、まずはAndroidで…という連載ですからね…。

AndroidでWebサイトを作る(1)

HTMLファイルの作成

我々がWebブラウザー上で目にしているWebサイトはHTMLという言語で書かれたデータなどをWebブラウザーが解釈した結果であることがわかりました。それが理解できたところでいよいよ自分でWebサイトを作ってみます。

Webサイトを作るためにはHTML言語を書くことになると言いました。具体的に何をするのかと言うとHTMLファイルを作成することになります。基本的にはテキストファイルの作成と同じです。書く内容がHTML言語になるだけです。

Termuxを起動して以下のコマンドを実行します。

micro index.html

実行するとindex.htmlファイルを編集できる状態でmicroが起動されます。ここに以下のHTMLを入力します。

<!DOCTYPE html>
<html lang="ja">
  <head>
    <meta charset="utf-8">
    <title>title</title>
  </head>
  <body>
    Hello, World!
  </body>
</html>

意味が分からないでしょうし、何より長いですよね。もちろん基本的に一字一句間違わずに入力しなければいけません。 スマホの画面上のキーボードでの入力はしんどいかと思います。そこで少し楽をしましょう。

Webブラウザーで「minimal html」をWeb検索してみてください。 「A Minimal HTML Document (HTML5 Edition) - SitePoint(https://www.sitepoint.com/a-minimal-html-document-html5-edition/)」というサイトが見つかるかと思います。

このサイトでなくとも検索結果として表示されたサイトであれば似たような内容だと思います。 記事を少し読み進めると最小限のHTMLとして先程示したHTMLと同じようなHTMLが載っています。 これをロングタップしてコピーします。

コピーしたらmicroに戻ってmicroの画面上でロングタップして貼り付け(Paste)します。

あとはこれを少し編集して先程示したHTMLと同じにします。

具体的には以下のように編集します。

* 「lang="en"」を「lang="ja"」に書き換え
* 「<link rel="stylesheet" href="style.css">」の行を削除
* 「<script src="script.js"></script>]の行を削除
* 「<body>」と「</body>]に囲まれた行を「Hello, World!」に変更

「Hello, World!」は字下げされていますが、これは「Hello, World!」の前にスペースが4つ入っています。

入力できたら保存してmicroを終了します。 テキストファイルの作成の際に行ったように、CTRLキーをタップしてからSキーをタップで保存、CTRLキーをタップしてからQキーをタップでmicroを終了です。

Webサーバー

HTMLファイルはできたわけですがそれだけではWebブラウザーでアクセスしてWebサイトとして閲覧することはできません。 そのためにはWebブラウザーがそのコンピューターにアクセスしてきた場合にそのアクセスに対してこれがWebサイトのデータであるとWebサイトのデータを返すことができるようになっていないといけません。

もう少し細かく説明します。あるコンピューターのWebブラウザーからWebサイトのデータであるHTMLファイルを保存しているコンピューターにアクセスしても準備がされていなければアクセスされたコンピューターとしては何をしていいのか分からない状態です。

これに対してWebブラウザーからアクセスがあったときにWebサイトのデータを返すのがWebサーバーと呼ばれるアプリです。Webサーバーを起動していると以下のようにアクセスに対してコンピューター上のHTMLファイルをWebサイトのデータとして返し、返されたWebブラウザーは返されたデータを解釈してWebサイトを表示できます。

Webサーバーの起動

WebサーバーもまたmicroのようにTermux上で起動します。microと同じようにはじめにパッケージのインストールをします。 以下のコマンドを実行します。

pkg install python

インストールの途中で

After this operation, 420 MB of additional disk space will be used.
Do you want to continue? [Y/n] 

というようなメッセージがでるかもしれません。 この操作で420MBのストレージ容量を使います。続けますか? ということなのでエンターを入力して続けます。

メッセージの最後の「[Y/n] 」は「y(yes)」か「n(no)」かで答えてください、なにも入れずにエンターを入力すると大文字である「y」を選んだことになる、といった意味合いです。なのでエンターを入力するとインストールが進みます。

その後しばらくしてエラー表示などなく再び「~ $ 」が表示されてコマンドの入力を受け付ける状態になればインストール完了です。

インストールができたらWebサーバーを起動してみましょう。 今から起動するWebサーバーはカレントディレクトリ内にあるファイルをWebサイトのデータとして扱うのでWebサーバーを起動する前にlsコマンドでカレントディレクトリ内のファイル一覧を表示してその中にindex.htmlがあることを確認しましょう。

ls

確認できたら以下のコマンドを実行してWebサーバーを起動します。

python -m http.server 8080

コマンドを実行して

Serving HTTP on :: port 8080 (http://[::]:8080/) ...

のように表示されたらWebサーバーが起動しています。 コンピューターすなわちこのAndroidスマホ/タブレットWebブラウザーからのアクセスを受け付けられる状態です。

Webサーバーを終了したい場合はCTRLキーをタップしてからCキーをタップします。

^C
Keyboard interrupt received, exiting.

のように表示されてWebサーバーが終了し、コマンドの入力を受け付ける状態に戻ります。

再度起動したい場合は再度Webサーバー起動のコマンドを入力すればいいわけですが、ちょっとコマンドが長くて面倒ですよね。 そこでtermux上でコマンドを入力しようとするところで画面上の「↑」キーをタップしてみましょう。 直前に実行したコマンドが表示されます。さらに「↑」キーをタップしていくとその前その前と以前に実行したコマンドが表示されます。 行き過ぎた場合は「↓」キーのタップで戻れます。 こうして実行したいコマンドが表示された状態でエンターを入力すればそのコマンドを実行できます。

WebブラウザーでWebサーバーにアクセスする

それではWebブラウザーでWebサーバーにアクセスしてみましょう。 Webサーバーを起動した状態でWebブラウザーを起動し、ChromeのURL欄に以下を入力してアクセスします。

localhost:8080

「Hello, World!」と表示されれば成功です。 先程作成したindex.htmlに書かれたHTMLをWebブラウザーが解釈した結果がこの表示です。

うまく表示されなかった場合は手順の何処かで間違っていないか確認してください。

例えば以下のような画面が表示された場合は

  • Webサーバーが起動していない
  • URLが間違っている
  • Webサーバーが起動のコマンドの「8080」の部分が間違っている

といった原因が考えられます。

また以下のような画面が表示された場合は

  • Webサーバーを起動したときのカレントディレクトリにHTMLファイルがない(HTMLファイルの保存し忘れなど)
  • HTMLファイルのファイル名が「index.html」になっていない

といった原因が考えられます。

ちなみに今やっていることは1台のコンピューター(Androidスマホ/タブレット)上でWebサーバーもWebブラウザーも起動して同じコンピューター上のWebブラウザーから同じコンピューター上のWebサーバーにアクセスしています。図にすると以下のような状態です。

入力したURLに含まれる「localhost」もWebブラウザーを起動しているコンピューターと同じコンピューター上を意味します。 ですので例えば別のスマホWebブラウザーで同じURLにアクセスしてもこのWebサイトは表示されません。

さてWebブラウザーで自作のHTMLファイルから成るWebサイトを表示してみてHTMLの詳細は分からないかもしれませんけど HTMLファイル内の「Hello, World!」がWebサイト上に「Hello, World!」として表示されているのだろうなとは推測できたのではないでしょうか? 実際その通りです。

WebサイトとHTML

Webアプリ

本連載でAndroidスマホ/タブレットで作るのはWebアプリという種類のアプリです。 WebアプリとはChromeなどのWebブラウザーと言われるアプリ上で動くアプリです。 Webアプリに近いものとしてWebサイトがあります。Webサイトはご存知ではないでしょうか?例えばはじめにtermuxをインストールするためにChromeで表示したF-DroidのサイトもWebサイトですし、その検索に使ったGoogleなどのWeb検索サイトもWebサイトです。

WebサイトとWebアプリの違いは何かですが、2つの境界はあいまいです。単に情報を提供するだけであればWebサイトですし、アプリ的な機能を持っていればWebアプリです。 実際作成に使う技術としてはWebサイトとWebアプリでどちらを作る技術も特に違いはありません。

ということでここからしばらくWebサイトについて話しますがWebアプリについても同様と考えてください。

Webサイトはどう表示されるのか?

Webサイトのデータは世界中の色々な場所にあるコンピューターに保存されています。WebブラウザーでWebサイトにアクセスすると、そのWebサイトのデータを保存したコンピューターからネットワークを通じてWebサイトのデータがスマホにダウンロードされてWebブラウザーで表示されます。 ですので通常Webサイトの表示のためにはインターネットに接続できる必要がありますし、一方でそのためAndroidアプリのように事前にインストールしておく必要が無いわけです。

URL

URLを指定してWebサイトにアクセスしたことはあるでしょうか? Chromeで何らかのWebサイトを表示した状態で画面の上部を見ると例えばF-DroidのWebサイトだと「https://f-droid.org」などと表示されています。これがURLです。

URLとは何かですが、Webサイトの住所のようなものです。すべてのWebサイトにはURLがあり、URLを指定することでそのURLのWebサイトにアクセスすることができます。

Webサイトのデータ自体は色々な場所にあるコンピューターにあるわけですが、URLがあるおかげでURLさえ知っていればどこのコンピューターにあるのかを意識せずにWebサイトにアクセスできるわけです。

試しにURLを指定してWebサイトにアクセスしてみましょう。ChromeでURLが表示されている部分をタップしてやると、あるいはChromeのバージョンによってはさらにそこから鉛筆アイコンをタップすると、URLを編集できる状態になります。

F-Droid
URLが表示されている部分をタップ
そこでURLを編集して「google.com」に書き換えてエンターを入力してみます。するとGoogleのWebサイトが表示されたかと思います。

URLを書き換え
エンターを入力してアクセス

ここで再度URLが表示されている部分をタップしてURLを編集できる状態にしてURLを確認してみます。すると「https://www.google.com」となっています。アクセスするために入力した「google.com」と違うと思われたかもしれません。それはその通りで今表示されている「https://www.google.com」が正しいURLで「https://」や「www.」などは省略しても補って表示してくれるようになています。

HTML

インターネットを通じてダウンロードしたWebサイトのデータをChromeで表示しているわけですけどWebサイトのデータとは何でしょうか?実はChromeで見ているWebサイトはChromeによって解釈された結果であり、データは見た目通りとは少し違う形で保存されています。 より元のWebサイトのデータに近いものを見てみましょう。 まずChromeで「f-droid.org」とURLを指定してF-DroidのWebサイトにアクセスします。 Webサイトが表示されたら、再度URLを編集できる状態にして、文字カーソルを動かして、URLの先頭に「view-source:」と入力します。結果としてURLの欄には「view-source:https://f-droid.org」と入力された状態になります。これでエンターを入力してみます。

URLの先頭にview-source:

するとなにやら暗号のようなテキストが表示された画面になったかと思います。

HTML

ピンチインして拡大してよく見てみると、ところどころに、先程F-DroidのWebサイト上で見かけた単語も見当たります。

HTMLを拡大

実はこれはHTMLと呼ばれる言語で書かれたWebサイトの内容です。このHTML言語をChromeが解釈した結果が普段ChromeなどのWebブラウザーで見ているWebサイトなのです。

そしてWebサイトを作るにはこのHTML言語を書いたりすることになります。

ということで次回はいよいよHTMLの作成に入ります。

ファイルとディレクトリ

突然、てけとーぶろぐ。らしからぬパソコン講座みたいな内容になってすみません。

遅くなりましたが、この連載は、スマホは使えて、アプリやゲームの開発、プログラミングに興味はあるのだけど

  • プログラミングはしたことがない、あるいは、学校でちょっとさわっただけ
  • かけられるお金がない、あるいは、お金をかけてまでするほどではない
  • 自分用のパソコンがない

といった人も読んでくれたらと考えているのでこんな話も入ってきます…。


ここまででテキストエディターのmicroを使ってテキスト(文書)ファイルを作成したり、その内容を編集したりできるようになりました。

それを使って早速プログラミングといきたいところですが、その前にプログラミングにあたって必要ないくつかの事柄を説明します。

ファイル

ここまででも何度か「ファイル」という言葉が登場しました。ファイルとは簡単に言えばデータのまとまりです。 ファイルはそれぞれ名前を持っています。ファイルの名前なのでファイル名と言います。

例えばmicroの起動の際に

micro sample.txt

とコマンドを実行しましたが、ここで指定していた「sample.txt」はファイル名です。

microでテキストを入力して保存するとsample.txtというファイル名のファイルが作られ、入力したテキストがそのファイルに保存されます。 他の例としては、おそらく今あなたが使っているスマホにはスマホのカメラで撮った写真が保存されているかと思います。この写真1枚1枚も実はファイルです。

ファイル名はおおよそ好きに付けていいのですがファイルに保存されているデータの種類に応じてファイル名の末尾に「.XXX」をつけるのが一般的です。「XXX」の部分はデータの種類によって変わり、例えば「.txt」などです。

ディレクト

次にディレクトリについて説明します。ディレクトリはファイルの入れ物です。フォルダと呼ばれることもあります。ファイル名同様名前を持ち、ディレクトリ名と言います。

ディレクトリは関連する複数のファイルを1つのディレクトリの中にまとめて入れて整理するのに使います。 例えば日記を書き込んだ「日記4月1日.txt」「日記4月2日.txt」というファイルがあるときに「日記」という名前のディレクトリを作ってそれらのファイルを入れます。

ディレクトリにはファイルの他に他のディレクトリを入れることもできます。なので例えば「書き物」ディレクトリに先程の「日記」ディレクトリと「雑記.txt」ファイルを入れるといったこともできます。

実際のファイル/ディレクト

スマホ/タブレットに保存されているファイル/ディレクトリをtermux上で見てみましょう。

lsコマンドを使うと今注目しているディレクトリ内にあるファイル/ディレクトリの一覧を見ることができます。

ls

コマンドを実行すると例えば以下のように表示され、先程作った「sample.txt」があります。

sample.txt  sample2.txt

今注目しているディレクトリと言いましたが、そのことをカレントディレクトリと呼びます。そしてカレントディレクトリがどこなのかはpwdコマンドで分かります。

pwd

コマンドを実行すると「/data/data/com.termux/files/home」と表示されたかと思います。「/」はディレクトリ名の区切りなので 「data」ディレクトリの中の、「data」ディレクトリの中の、「com.termux」ディレクトリの中の、「files」ディレクトリの中の、「home」ディレクトリがカレントディレクトリになっています。

ですので先程のlsコマンドの結果表示されたのはこの「home」ディレクトリの中にあるファイル/ディレクトリの一覧だったわけです。

Androidスマホ/タブレットを開発環境にする(2)

前回、Androidスマホ/タブレットにパソコンと同様の開発環境を構築するために「Termux」というアプリをインストールしました。

パッケージのインストール

続けてアプリ開発に必要なパッケージをインストールしていきます。パッケージというのはAndroidでのアプリとほぼ同じようなものです。Termax上で使えるアプリです。

パッケージのインストールにはpkgコマンドを使います。

pkg install <インストールしたいパッケージの名前>

でパッケージがインターネットからダウンロードされ、インストールされます。例えば

pkg install micro

を実行するとmicroというパッケージがインストールされます。実行してみましょう。

microを使う

micro はテキストエディターと言われる種類のアプリです。メモ帳みたいなものですが何に使うか予想がつくでしょうか?プログラムを書くために使います。

microを起動してみましょう。以下のコマンドでmicroを起動できます。

micro <編集したいファイルのファイル名>

試しに

micro sample.txt

を実行してみましょう。こうするとmicroを「sample.txt」というファイルを開いた状態で起動します。ファイルについては後で少し説明します。

microを起動するとmicroの画面になります。左上にある白い四角が文字の入力位置を示すカーソルで、キーボードから文字を入力するとこの位置に文字が入力されます。 適当に文字を入力してみてください。

カーソルキー(キーボードのすぐ上にある「↑」「↓」「←」「→」のボタン)でカーソルを動かすことができます。 また画面をタップしてその位置にカーソルを動かすこともできます。 例えば文章を入力していてあとから途中を書き直したくなった場合はカーソルを書き直したい位置に移動させて文を編集します。

文字を入力しましたがこの内容はまだファイルに保存されていないため、例えばここでスマホの電源を切ったりすると、入力した内容は失われてしまいます。 入力した内容をファイルに保存してみます。 キーボードのすぐ上にある「Ctrl」のボタンをタップしてから「S」キーをタップします。 すると画面下部に「Saved sample.txt」と表示されます。これで入力した内容がファイルに保存されました。

続けてmicroを終了してみます。 キーボードのすぐ上にある「Ctrl」のボタンをタップしてから「Q」キーをタップします。 microが終了して元のtermuxの画面に戻ります。

ちなみにファイルの内容を編集して保存せずにmicroを終了しようとすると「Save changes to sample.txt before closing? (y,n,esc)」と表示され、終了前に保存するかを問われます。「(y,n,esc)」は、「Y」キー、「N」キー、「ESCキー」(キーボードのすぐ上にある「ESC」のボタン)のいずれかを入力して答えてくださいという意味です。yはYes、nはNo、escはキャンセルの意味なので、「Y」キーをタップすると今の内容が保存されてmicroが終了します。「N」キーをタップすると今の内容が保存されずにmicroが終了します。「ESC」キーをタップすると終了しようとしたことがキャンセルされてmicroは終了しません。

Androidスマホ/タブレットを開発環境にする(1)

Androidスマホ/タブレットだけではじめるゲーム開発
実社会で使われている技術を用いた自作ゲームの作成から公開まで

と題して記事を連載してみたいと思います。

プログラミングの詳細は説明しませんが、実社会で使われている技術を用いて、自作ゲームの作成から公開までを一通り体験できます。

本連載の手順に従ってやっていけば開発環境が整うので興味を持った技術があれば他の専門書などで学習を続けられます。

では早速はじめていきます。

Androidスマホ/タブレットの準備

最低限必要なものとしては

これだけです。 中古品であれば1万円以下のものもあるかと思います。 正確にはAndroidではありませんがAmazonのFire タブレットでも大丈夫です。

Termuxのインストール

Androidスマホ/タブレットにパソコンと同様の開発環境を構築するために「Termux」というアプリをインストールします。

アプリのインストールというと通常Playストアから行いますが、現在最新のTermuxはPlayストアからはインストールできなくなっています。代わりにChromeからTermuxインストール用のAPKファイルをダウンロードし、それを使ってインストールします。

まずChromeでダウンロードしたAPKファイルを使ってアプリをインストールできるようにAndroidの設定を変更します。

Androidの「設定」から「アプリと通知」→「アプリ情報」→「Chrome」→「不明なアプリのインストール」とタップしていき「不明なアプリのインストール」画面で「この提供元のアプリを許可」をONにします。 これでChromeでダウンロードしたAPKファイルを使ってアプリをインストールできるようになりました。

そうしたらChromeを起動して「f-droid termux」というキーワードでWeb検索します。 おそらく以下のサイトが検索結果の一番目に表示されるのでこのサイトを開きます。 https://f-droid.org/en/packages/com.termux/

下の方にスクロールしていくと

「Version 0.118.0 (118) suggested Added on 2022-01-11」などとバージョン毎の説明があるので「suggested」とついているバージョンの説明の下の方にある「Download APK」のリンクをタップします。

するとAPKファイルをダウンロードするか問われるのでダウンロードします。 ダウンロードが完了すると続けてダウンロードしたAPIファイルを開くか問われるので開きます。 このメッセージをタップしそこねた場合はChromeの右上の「…」をタップしてメニューを開き「ダウンロード」をタップ、ダウンロードしたAPIファイルをタップすれば大丈夫です。 Termuxをインストールするか問われるのでインストールします。

インストールができたら「この提供元のアプリを許可」の設定は元に戻しておきましょう。

Termuxの起動と終了

Termuxを起動してみましょう。起動の仕方は他のアプリと変わりません。 真っ黒い画面に「Welcome to Termux!…」とメッセージ、そしてキーボードも表示されています。

Termuxを終了してみましょう。終了の仕方は他のアプリと異なります。 多くのアプリはAndroidのメニューボタンを押して終了などとすれば終了できますが、Termuxはそれでは終了しません。

試しにキーボードから適当に「aaaa」と文字を打ち込んで、メニューボタンから終了としたあと、ホーム画面のTermuxアイコンをタップしてみると打ち込んだ文字がそのまま残っています。

Termuxを終了するには「exit」コマンドを使います。 一旦先程打ち込んだ「aaaa」を削除して

exit

と入力し、キーボードのエンター(改行)キーを入力します。するとTermuxが終了します。

こんな風にTermuxではキーボードからコマンドを入力することで様々な操作を行います。